日本美術と仲良くなりたい… 

日本美術にお近づきになれるのかどうかの記録です。

【はじめに】野望・日本美術を楽しめるようになりたい!

現状:日本美術、楽しめていません…

いまひとつ日本美術のよさがつかみきれていません。いや正直にいえば、ほとんど理解できていません。好きか嫌いかと問われれば、「うーむむ」です。

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いえ、埴輪は単純にかわいいと思います。東京国立博物館所蔵「踊る人々」撮影:ワタシ

素質:美術鑑賞への感性=ありません…

そもそも世間で人気の西洋美術だって、「好き好き大好き」というわけではありません。美術が好きだった母に連れられて、子ども時代にはさまざまな展覧会にお供しましたが(させられましたが)、頭の中に浮かぶワードは、「たいくつ…」「はやく…」「まだ…?」の3つでした。おとなしい子どもだったので、「たいくつたいくつたいくつ」と、言語での明確な意思表示はしませんでしたが、母に無言の圧力はかけたかもしれません…。

美術鑑賞へのハードルを下げる:感動しなくてもよい

同じように展覧会に連れまわされた4つ上の姉は、絵を見るのが好きなおとなになりました。金曜日の仕事帰りに企画展に行ったりするし、海外の美術館にも足を運んでいます。わたしなぞは上野の企画展目当てにできた長蛇の列を(テレビの画面で)見ただけでグッタリする始末。炎天下の中、2時間待ちとか3時間待ちとか…、本当にみんなそんなに芸術好きなの…?? フェルメールの描く女の人たちって…よく見ると意地悪そうな顔をしているよね…??
あるとき、「いったい絵の何を見ればいいの?」と姉に聞いたところ(こんなことを聞いている時点で、もうダメ…)、「いちいち感動する必要はなく、」「1枚でも好きな絵があったら、それを眺めて『好きだなー』と思えばよく、」「『色がきれいだなー』だけでもいい」との助言をもらいました。なるほど別に感動しなくていいとなれば、心理的なハードルが下がるというものです。

向上心:ある。理解がしたい…!

しかし、ハードルを下げたところで、でもまだなんかもやもやしたものが残っています。「ふーん」で済んでしまう絵は、「ふーん」でいい、となると、わたしの場合、八割がた「ふーん」で済んでしまいます。世間の人があんなにも称賛しているものが、「ふーん」で終わってしまうのは、わたしに何かが欠けているのではないか、感性や知性に問題があるのではないか…。そしてそれを認めるのは簡単ですが、なんだかさみしいではないですか…。

中野京子氏の著作との出会い:そうだ、わたしは図鑑型ではなく物語型だった!

ここで出会ったのが、作家・中野京子氏の美術作品を読み解く著作です。
流行しているものは決して手に取らない天邪鬼な気質のせいで、「怖い絵」のブームからずいぶん遅れてのことでした(天邪鬼でいいことは1つもありません。でもしょうがない。そういう性格なんだもん)。母の家にあった「名画の謎 ギリシャ神話篇」(文春文庫)を読み、「うわ、なんておもしろいんだ」と思いました。

なるほど、わたしは、それぞれの絵が持つストーリー(題材にしろ、作家や、描かれた時代背景にしろ)を知らなすぎるんだと思いました。
姉のように絵を純粋にそのまま楽しめる人はそれでよいのでしょう(または、鑑賞する経験を積むことによって、絵画におけるさまざまな約束事やストーリーを自然に理解していくのかもしれません)。でも、わたしのように、作品の表面を目がただ上滑りするだけのような人間には、「情報」が、作品に向き合うときの大きな助けになります。背後にある物語を知ることで、絵が画面に広がる以上のことを語りだしてくれるからです。そして、絵そのものよりも、絵を通して語られるそういう物語にこそ、わたしは感情移入することができるのです。

日本美術:自分の国の文化くらい理解したい…

さて、ここで冒頭の日本美術に戻ります。
日本美術を楽しめるようになりたいのです。好きになれなくてもいい。理解したいのです。理解したうえで、「ふーん」といいたい。
西洋美術以上に、日本美術って親しみが持ちにくくないですか?? 水墨画なんて見ても、「うーん…」以上の感想が出てきません。戦国大名の愛したお茶碗も見ても「……」。お前の感性がそれまでだ、といわれればそれまでですが、感性が限りなくゼロに近くてもお近づきになりたい。
で、西洋美術と同じように、というかそれ以上に、わたしは日本美術について(ひいては日本の歴史について)何も知らないのだ、ということに気づきました。No知識、No理解! 当然のことかもしれません。
日本美術の作品にも何かストーリーを感じることができたら、そっけなく、退屈に見える作品も少しは歩み寄りを見せてくれるかもしれません。
というわけで、これから残すのは、日本美術が楽しめるようになったらいいな、という試みの記録です。
というか、少々学んだところで、仕入れた知識は、使い古した脳にとどまることなく高速でいずこへか飛び去ってしまうので、ここへ一部でも書き残しておけばよいかも、と思った次第です。